結末

この話の結末。

https://haruki-morikawa.hatenablog.com/entry/2018/09/30/000437

 

僕がネパールに渡ったのがおよそ1年半前。

2ヶ月間、Possible Nepalという孤児院で住み込みのボランティアをする為だった。

 

そこで見たものは、物資や食べ物、教育機会も十分にない中で、

楽しみを見出して精一杯生きる子供たちと、

その生活を必死で守ろうとする大人たち。

 

 

2ヶ月の間、

僕は自分に何ができるのだろうかと思い続けて過ごしていた。

 

彼らに勉強を教えること

日本について話すこと

ものを大切にすることの意味を説くこと

資金を集めること

 

悩みながらも何だかんだ色々と挑戦していたなと思う。

 

 

それでも、

僕の中で最も印象に残っている瞬間が、

この手紙にまつわるエピソード.

Japanese Friendsに向けて彼らが手紙を認めている瞬間の希望にあふれた表情だった。

 

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事の起こりは僕がネパールで暮らし始めてから3週間ほど経った頃。

そろそろ折り返し地点だなと思い立った僕は、

子供たちが学校に行っている昼間の間に

孤児院の大掃除を敢行することを決めた。

 

 

ひと部屋ひと部屋、家具を動かし物を整理し掃除していき、

勉強部屋に取り掛かることに。

 

そこで本棚の本や紙やノートをひとつずつ抜き出して整理をしているうちに、現れ出たのがこの手紙たち。

 

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日本の小学生たちから、ネパールの子供達に向けた手紙でした。

聞いてみると、誰も何故ここにあるのかわからない。

なんとなく埋もれていたもの。

 

 

しかし手紙と分かると、

子供たちの反応は微笑ましいもので、

誰からの手紙だの、なんて書いてあるかだの、

日本の子供たちはどんな生活をしているのかだの

ひとつひとつ読むことをせがまれ、

質問責めにされていた。

 

そして手紙の地名に見覚えがあったから、

大学に入り偶々知り合った大学付近の商店街の方に連絡を取ってみたら、

なんとその方の出身校で、

大学の近くのまさに地元の小学校だった。

 

それだけではなくて、その商店街の方から、商店街にまつわる学生団体の方や、PTAの方へと繋がり、

当時手紙を出した小学生たちが、

地元の中学校へと進学していることが判明して

その中学校の教頭先生とお会いすることに。

 

この繋がりに不思議な縁を感じだこともあって、

子供達がこんなにも顔を輝かせてくれるならと、

手紙の返事を持って帰ることを決意した。

 

 

そうやって日本の子供たちに対して手紙を書いてもらうことになったわけだけど、

その時の彼らの表情といったら!

 

きっとこれまで沢山物資を受け取ることはあったのだろう。

でもそのたびに、自分たちの生きる世界の外の広さや、不思議さに思いを致して

自分たちが生きる世界の小ささに漫然と不満足感を抱いていたのだろう。

 

そんな彼らが初めて受け取った、

地球の遠く離れたところの同年代の子供たちからの手紙。

 

そして今度は、

"自分"がその彼らに"伝える"チャンス。

 

憧れるだけだった外の世界と初めて繋がれる瞬間。

 

そうしてあの期待に満ち溢れた表情が生まれていたのだろうな。

 

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そうした手紙を持ち帰った僕は、

教頭先生とお会いし、事情を伝えて、何かしようということに。

 

ただ、

それからなんとなく決行できずにいた中で、

その中学生たちの卒業を目前に控え、

1人の先生から

授業をしましょうとの申し出を頂いた。

 

 

願ってもないありがたい機会に飛びつくと

 

当初は手紙の経緯を話し、手紙を返すだけのはずだったものが

日本の小学生たちに縁の不思議さ、大切さを伝える機会にしたいという話に。

 

 

よくわからないままに出した手紙かもしれないけれど、

それが実際に海を渡ってて、

名前も顔も知らない子供達に

かけがえのない瞬間を届けているんだと。

 

その一歩の大切さ

時の縁が繋げてくれる不思議な巡り合わせ

 

記されたネパールからの明るい希望のメッセージと共に、

先生と僕の想いも込めて

手紙を届ける時間にして頂いた。

 

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手紙にまつわるエピソードを話し、

彼らの一歩が生み出した笑顔と

その手紙の物語に携わる中で

僕が感じてきた素直な思いについて、

話してきた50分間だった。

 

 

彼らの心に届いたのかは定かではないけれど、

講演の後、手紙を書いたことを覚えていると寄ってきてくれた女の子がいて

正真正銘その子に宛てられたネパールの友達からの手紙を渡した瞬間.

 

うまく言えないけれど、

巡り合わせの連続の果てに

世界の広さと不思議さへの希望を抱いたかのような

そんな彼女の生き生きとした表情を見て

心からこうして届けに来て良かったと思うと共に

僕自身もなんだか救われたような気がした。

 

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